第29回日本ホスピス・在宅ケア研究会 全国大会 in 奈良 今ここからはじめる 古屋聡先生より 

古屋聡医師 の Facebookより 2022年10月13日

         【一般企画9】 暮らしを支えるインフォーマルな取り組み   スタッフ集合写真
【一般企画9】 暮らしを支えるインフォーマルな取り組み 
<座長> 
山下 和典(NPO法人Life is Beautiful )
<演者> 
菅原 由美(全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス) 
市原 美穂(ホームホスピス宮崎)
山端 聡(奈良県天川村) 

写真撮影:フォトグラファー櫻井一平

10/9 日ホス奈良【一般企画9】

暮らしを支えるインフォーマルな取り組み Informalとformalの間でこのセッションの座長は山下くんでした。

最初の登壇の天川村の山端さんは以前にpcbmのオンラインミーティングでお話を伺った山端さんでしたが、プレゼンに間に合わず残念!! 

 かつてinformalが全てformalに登録されるような地域社会の因習は地域から若者を減らし、急速な高齢化とそれに続く人口減少が地域のinformalなサービスの存続を困難にした。同時に市町村合併によるサービスの効率化は、例えば高知の地域駐在保健婦や沢内村のバイクで訪問する保健婦保健師に代表されるような地区担当保健師の存在を消していき、いつか地域は大きな町とそれに分画上は属する「ただの不便な集落」となりサービスも出張で提供されるものが中心になった。

 コミュニティナース運動(とりあえず「運動」と呼ぶ)は、自由な発想をで、全国の仲間とのネットワークをもち、地域においてちょっとおせっかいなムードで、さまざまな側面からinformalを紡ぐことができる。しばしば専門職と一般住民というグラデーションも利用できる。

 基本よそものであることがその活動の自由度をあげるし、そもそも「若い人」というだけで素晴らしくいいし(もちろん若くなくてもいいけど)、移住ばやりになっての「新住民コミュニティ」と「旧住民コミュニティ」を有機的につなぐ大事なハブとなったりできる。という勝手な期待をこめたコミュニティナース像を語ってしまったが、きっと山端さんは地域で楽しみを日々見つけながら、助けているようで育てられるような活動を紡いでいらっしゃるのだと思います。 

 さて菅原さんは、日本のどこでも(最近は海外でも)、お節介(だけど必要な)informalを実現できる道を開拓してきた。

地域の医療やケアの現場でも、被災地でも、常に「あまりもの」や「残りもの」を拾い、さらには「こぼれ落ちるもの」をすくおうとしてきた。

 キャンナスの本態はムーブメントなのに、被災地などでは「キャンナス」というよくわからない団体に皆がやらない(やれない)サービスを任せたり、そしてキャンナス(群)をそれをさまざまな場面さまざまな形で引き受けてきた。

その「スキ間産業」であるキャンナスとは気仙沼でも石巻でも益城でも真備でも長野でも常にありがたく協働してきた。

 こちらの思いに応えてくれるたくさんのナースに出会ってきた。

 菅原さんはそのための手段は厭わないので、実は活動形態は一般社団法人も、NPOも、もちろん営利事業ももっている。

 石巻に営利事業を展開しながらそこを核にinformalサービスをサポートもしてきた。2011年にチャレンジして一度はついえた「訪問看護師ひとり開業」もまた別の芽が出て北海道などでは急速に展開しようとしているとも聞く。「全国に星の降るほど」キャンナスは増殖しようとしている。

「人のためになる自分を実現したい」ナース(だけではない)がいる限り、キャンナスの進撃は続くように思う。 

 市原さんは信念の人である。

 「制度がつくかつかないか」にもビビった形跡がない。(むしろ制度がつかない方がいいとも言い放った)ホームホスピス活動も、こちらはキャンナスと少々違って、団体としての綱領とかノウハウとかきちんと共有する形で全国的なネットワークとなってプラットフォームもできているように見える。

シンポ中にたまたまマイクを握らせてもらったので、聞きたいことを聞かせてもらった。

そうしたらさすが市原さん!!地域の人を生活の場で送ってあげようと思ってできたホームホスピスが、災害の時などに地域のシェルターとなる可能性を十分認知され、それに向けて準備がされていました!! 

これもinformal(指定ではない避難所)がformal(福祉避難所)の役割を果たすかもしれない好例と思いました。市原さんの発言には逡巡もなければブレもありません。 

他の人のためになろうとする人の思いや願いがさまざまに無理のない形を使って地域に散りばめられ、自律の意思と自助をサポートする形になっていくことで肝心なformalサービスを遅滞なく最も必要なところに配することができる、
これが「地域包括ケア」だと思いました。

山下くん、ふってくれてありがとうございました。実は在宅ケアアライアンスの武田さんも見えている中で、災害のことにもふれることができて、僕はたいへんありがたかったです。意外に菅原さんと2ショット写真がありませんでした

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