私たちは「誤嚥性肺炎」ときちんと向き合えているでしょうか?

佐々木理事 2023年 2月10日 Facebook記事より 

私たちは「誤嚥性肺炎」ときちんと向き合えているでしょうか?

高齢者の多くは、人生の最終段階で誤嚥性肺炎を繰り返し、入退院を繰り返し、身体機能や嚥下機能、栄養状態を悪化させながら、最終的には食事を制限・禁止されつつも誤嚥性肺炎で亡くなっていきます。

「とりあえず食止め」に代表される誤嚥性肺炎に対する誤った知識や不適切な治療・栄養管理が誤嚥性肺炎のリスクを高め、生命予後を悪化させているケースも少なくありません。

食事制限は本人のQOLを低下させます。

しかし、好きなものを食べさせて事故が起こったらどうするのか。

専門職の多くは葛藤の中にあります。誤嚥性肺炎の多くは唾液の不顕性誤嚥によって生じています。

食物誤嚥が防げれば、誤嚥性肺炎が防げるわけではありません。また、人生の最終段階、慢性的な唾液の誤嚥が生じることも少なくありません。

どこまでが病気で、どこからが老化なのか。どこまでを治療し、どこからが生命力の限界として許容すべきなのか。誤嚥性肺炎は、単純な病気ではありません。

それは単に飲み込む力の低下だけではなく、さまざまな要因が重なり合って生じます。老化に伴う心身の機能の低下→低栄養・サルコペニア・フレイル・認知症、薬物の栄養、食事や環境、考慮すべき要素は多岐にわたります。

また、家族も含めた治療方針の決定は、在宅ケア力・多職種による支援力やアドヒアランスにも左右されます。治療の中止・不開始に対する臨床倫理的な考え方が求められることもあります。

治療しない場合には適切な緩和ケアも必要です。この誤嚥性肺炎とどう向き合っていくのか。講演とディスカッションを通じて、一緒に考えていけたらと思っています。

登壇いただくのは、二人の摂食嚥下の専門医、西山耕一郎先生と木村百合香先生と「嚥下障害の高齢者と夜中にラーメン」動画でSNS上でインパクトのある問題提起を行ったぐるんとびーの菅原健介さん。皆様にもぜひご参加いただきたく、お知らせ差し上げました。

開催日は今度の月曜日(2023年2月13日)、19:00スタート、ZOOMを使ったオンラインイベントです。https://lib-action230213.peatix.com/

【講師紹介】

◆西山耕一郎(にしやま こういちろう)先生耳鼻咽喉科・頭頚部外科医師として北里大学病院や横浜日赤病院、 国立横浜病院などで研鑽を積む。 30年間で約1万人の嚥下治療患者の診療を行う。 現在、医療法人西山耳鼻咽喉科医院理事長。 藤田医科大学客員教授、横浜嚥下研究会代表、、日本耳鼻咽喉科学会専門医・補聴器相談医、日本気管食道科学会専門医他。医学博士。また、複数の施設で嚥下外来と手術を行うかたわら、大学医学部や看護学校、 言語聴覚士学校でも教鞭をとり、学会発表や講演会、医師向けのセミナーも行う。

◆木村百合香(きむら ゆりか)先生公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院耳鼻咽喉科医長。1998年、東京医科歯科大学医学部卒業。同大耳鼻咽喉科入局。東京都健康長寿医療センター勤務を経て、2015年より昭和大学医学部耳鼻咽喉科准教授。17年から現職。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医・補聴器相談医、日本気管食道科専門医他。医学博士。 

◆菅原健介(すがわら けんすけ)さん株式会社ぐるんとびー 代表取締役1979年神奈川県鎌倉市生まれ。中学高校をデンマークで過ごし、学生時代は野宿をしながら各国を放浪。東海大学卒業後、(株)セプテーニで広告業の営業職として勤務。その後、理学療法士に転職。回復期リハビリテーション病院(鶴巻温泉病院)在籍中に東日本大震災が起こる。全国訪問ボランティアナースの会キャンナスの現地コーディネーターとして石巻・気仙沼などで活動。2012年にマンションのひと部屋を使った小規模多機能型居宅介護『絆』開設。要介護者の約6割の介護度が改善する事業所としてメディア等に取り上げられる。2015年に『株式会社ぐるんとびー』を起業し独立。日本初のUR団地のひと部屋を使った小規模多機能型居宅介護『ぐるんとびー駒寄』開設。2017年に『ぐるんとびー訪問看護ステーション』開設。また、藤沢地域を中心とした多業種・多職種の交流会『湘南きずなの会』『湘南大庭会』などを仲間とともに主催している。写真は菅原健介さんのTwitterおよびBuzzFeedより。ぜひリンク先の記事もご一読を。https://twitter.com/KensukeGru/status/1265415777332559872https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/grundtvig-ramen

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