医者が「死」を管理してはいけない。

佐々木理事 2023年 1月30日 Facebook記事より 

登壇者・スタッフのみなさまと

医者が「死」を管理してはいけない。

京都・西本願寺でのシンポジウムに参加して、改めてそう思いました。

生病老死。

これは宗教家が長い時間向き合ってきたテーマ。

いつの間にか人の生命は医療の管理下に置かれるようになってしまいましたが、歳とともに弱って死んでいくのは生き物としての人間の宿命。

どこまでを病気として、どこから先は運命としてそれを受け入れるのか。生物学的な視点だけで判断するのはとても難しいと感じます。

ビハーラ病棟で臨床宗教師として活躍されていた森田先生のお話をお聞きしながら、身体だけではなく魂に向き合うことの重要性を改めて認識するとともに、その最適な担い手は医師ではないのだろうとも思いました。

そして「ご縁」。

これも仏教の根本教理の一つですが、いま、まさに私たちがもっとも必要としているものなのかもしれません。

私たちの生活や人生は、人と人とのつながりの中にあります。

つながりの先に居場所や役割、そして生きがいが生まれます。

超高齢化・核家族化が進む中、独居世帯も増加しています。

特に高齢者の独居は孤立になりやすく、一人で亡くなった状態で発見される方も増えてきています。

これまで1万件以上の遺品整理に取り組んでこられたメモリーズの横尾さんは、「孤独死はなくならない」と言い切ります。

そして、孤独死そのものはけっして悪いものではないとも。

それが幸せな一人暮らしの延長線上にあったのなら、「孤独死」というよりは「一人死」。

許容すべき最期の形なのかもしれません。

そして大切なのはなるべく早く気づいてあげること。

東京都監察医務院によると、異状死の約4割は発見に4日以上、約2割は2週間以上かかっています。

避けるべきは孤立。2040年には独居世帯は40%になると予想されています。

独居が孤立にならないように、一人ひとりが最期まで納得して生き切るために。医療ではない文脈から考えてみると、私たち一人ひとりができることはまだまだあるようにも感じました。

私自身もとても勉強になった4時間でした。今日の京都は厳しい寒さ。実は初めて訪れる西本願寺は、荘厳な空気に包まれ、心が洗われたような気がしました。

貴重な機会を頂戴しました浄土真宗本願寺派・総合研究所のみなさま、ありがとうございました。そして山下くん、和田さん、お疲れ様でした!

主催:浄土真宗本願寺総合研究所 企画協力:NPO法人Life is Beautiful

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